タイでビジネス
■自己紹介
2012年よりタイに滞在中でタイ語通訳者の能勢です。
今回は、タイで新しくビジネスを始める際について考察してみたいと思います。
この記事では、これからタイで新しくビジネスを始められる事を検討されている方向けに書かさせて頂きました。
既にタイで長期ビジネスをやられている方には、あまり参考にならないかと思いますので予めご了承下さい。
タイでビジネスで成功するのは難しいのか
タイでビジネス経験のない日本企業がタイに進出してきて、いきなり成功するかといえばはっきり言って非常に難しいと言えます。
筆者は2012年以降からタイに滞在していますが、進出してきた日系のお店や企業・アミューズメント施設が、3年程度で消えていったのを数多く見てきています。
資金が潤沢にある大企業であれば、初めの内は成功する確率は高いと思いますが、タイでのビジネス経験のない中小企業がギリギリの予算で進出されるような状態では、成功するにはよほど努力しないと非常に厳しいと筆者は考えています。
その理由は、主に下記3つにあると私は考えます。
- タイ市場に期待し過ぎている
- 価格設定がまだまだ高い
- タイという文化を理解出来ていない
一つずつ解説します。
1.タイ市場に期待し過ぎている
結論から言いますと、事前調査の段階で得た市場データや数値という尺度だけで期待度が高いと判断されても、実際にはその通りにならない事が多いです。
冒頭にも申し上げましたが、タイでのビジネスは日本以上に難しいものがあります。
タイ人は、市場データや数値を見せて説得しただけでは動きません。
タイでは、当たり前ですが行動・実例(サンプル)・信頼・現金が求められます。
タイでは、他人任せ(業者に丸投げなど)は失敗の元ですので、全て自らが行動して確認し最後まで自分でやり通す意思が必要になります。
タイに進出されている日系企業とお取引されるのも難しいですが、英語だけで初めから100%タイ資本企業との取引は、さらに困難を極める事になるのではないかと考えます。
2.価格設定がまだまだ高い
タイのマーケットをターゲットに価格設定をすると、結論から言えば自社が想定されている価格帯より半値ほど安くして売れ始め・売れ続けると考えて頂いて結構かと筆者は考えます。
その理由はタイ人は付加価値という価値観をそこまで重要視していません。
これは、当社とお取引させて頂いているタイ企業の経営者を見ていてもよく分かります。
付加価値という尺度はいいから、とにかく安いモノ・サービスを探し求めているのです。
例えば、商品Aと商品Bがあって、商品Bの方がコストは高いが付加価値があるから商品Bで決定!
とはなりません。
この背景には、タイ人の所得水準自体がかなり低いからではないかと筆者は考えます。
タイ人全体の所得水準が低いので、付加価値の高い高額商品やサービスはそこまで求められませんし、求めていないのです。
所得水準が日本と比較しても格段に低いタイ国で、成功されているタイ企業のタイ人経営者が付加価値を度外視し経費を安くする努力をされているので、付加価値を付けてより良い商品・サービスを提供する事を考えられているとするならば、さらなる調査や再検討が必要なのではないかと思います。
日本では、付加価値が高く高品質の商品やサービスでも成功できます。
それは日本人が付加価値という価値観を理解していますし、それなりの所得水準があるからです。
日本では「安かろう、悪かろう」ですが、タイでは「安かろう、良かろう」が通じます。
タイのセブンイレブンで売られている500mlのペットボトルの水一本、6バーツ(約20円)で購入出来ることから考えても、タイのマーケットの価格設定が如何に低水準かお分かり頂けるのではないでしょうか。
タイの物価が安い理由
タイは貿易の構図上、日本よりも有利な場所に位置しています。
それは、世界の工場である中国から陸路でも海路でも直接安価な品物が手に入るからです。
わざわざ、中国で生産された製品を一度日本へ輸入して、さらに日本で加工が施された製品をタイへ輸入しなくても、直接中国の工場から仕入れ自分達で加工すれば良いのです。
日本から輸入された製品は、輸入関税が掛かるため何でも日本市場の価格より高くなります。
3.タイという文化を理解出来ていない
日本という国を超えて、異国の国タイでビジネスを始められるなら、タイという文化を理解することは非常に重要なことです。
これを理解出来ていないと自社で何かの企画やプロジェクトなどの計画がスケジュール通りに進まず、後々大問題に発展します。
日本人同士でスケジュールを組んでも、タイでは決してそのスケジュール通り上手く進みません。
理由について
まずタイ人という文化について、これまで8年以上共に仕事をしてきて、家族もタイ人の筆者の意見としては下記の通りです。
- わがまま
- 慎重さに欠ける
- すぐに諦める
- 感情的になると何をするか分からない
- (他にもまだまだありますが、代表的に思えることとして)
はっきり言って、子供と一緒で自立するのが苦手で日本人感覚とは全く異なります。
社員としてタイ人を雇用する場合には、子供をあやすように取り扱わないと良好な関係が築けません。
締め切り期日までに「あれをやっといてね」と頼んでも平気で破られます。
基本残業はせず、定時ぴったりで帰ります。
これを無理に押し付けようとすると、仕事を放棄したり最悪ストライキが起きたりとトラブルに発展します。
日本企業の要件に合わせようとタイ人を管理すると、本当に大変なのです。
お役所業務に想定外の時間が掛かる
タイでビジネスをしていると、お役所業務で想定外に時間をロスすることがあります。
そのため、自社業務の進捗度合いもタイのお役所業務に大いに左右されます。
何か書類を提出して許認可をもらう際にも、日本から製品をタイへ輸入される際にも、タイの役人が突発的に確認や検査が必要だと言った場合に、相当な時間が掛かる場合が、多々あるのです。
想定外のところで確認作業などが入ると、それこそ時間のロスに繋がり、
当初のスケジュール通りに進まずお取引先に迷惑が掛かる事になります。
プロジェクトを遂行される際には、事前に余裕に余裕をもったスケジュールで進められる事をお勧めします。
下記にタイ人の気質について記事をまとめていますので、よかったら参考にしてください。
タイで成功している日系企業
実際は、難しいタイ市場の中でも成功されている日経企業は数多くいます。
- 8番ラーメン
- カレー・ココイチ
- モスバーガー
- 吉野家
- すき家
などなど、数え上げればキリがありませんがいずれも日本でも大成功されている企業です。
タイで長期で成功していくために
では、タイで事業を成功させるためには、どうしたら良いのでしょうか。
簡単に言えば、上記で記載したようなことを理解している事が一番です。
それと、タイ語の理解・会話は必須です。
その理由は、タイ人は基本的に英語が母国語ではないため、通訳を通して仕事をすると時間のロスに繋がるからです。
塵も積もれば山となりますので、こういうロスは不利となります。
また、タイで長期で成功されている経験豊富な企業様とパートナー関係になっておくことを強くおすすめします。
まとめ – タイでの成功とは
筆者が考えるタイでの成功とは、利益率の高いビジネスで短期的に大きく儲けるのではなく、利益率が低くても長く商売が続けられるビジネスモデルを構築することにあるのではと考えます。
「先ずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」とは著名な投資家ジョージ・ソロスの格言です。
とにかく、まずはタイの市場で貴社の製品やサービスを受け入れられる事を第一目標に考えられた方が良いかと考えます。
この記事がこれからタイでビジネスを始められる方のお役に少しでも立てたら幸いです。
ご質問などある方は、下記のお問い合わせよりご連絡下さい。