タイでのビジネス慣習

タイでのビジネス慣習

タイでのビジネス慣習

 
タイ企業と取引をするにあたって、注意すべき点はどのようなものがありますか?

■自己紹介
2012年からタイに滞在中でタイ語通訳者の能勢です。


今回は、タイ企業と取引する際の流れや注意点などについて、筆者のこれまでの経験を踏まえご紹介させて頂きます。


これから、タイ企業と取引をご検討されている方の参考になれば幸いです。

タイでのビジネス慣習 – 取引の流れ

まず、当社がタイ企業と取引を始める手順からご説明します。


基本的に、新規取引を目指す場合は、日本で言う飛び込み営業に近いです。

  1. メールで取引希望の内容メールを事前に送っておく(もちろんタイ語)
  2. メールの返答有り無しに関わらず、メールを送った後時間をおいて電話連絡する。
  3. 電話で取引可能かどうか意思確認をし、可能性があればアポイントを取り付ける。
  4. 商談で詳細な内容を伝え、ビジネスの可能性があれば具体的に話を進め、相手に検討してもらう。
  5. 取引が可能であれば、実務担当者を交え取引条件や支払条件など詳しく打ち合わせをする。

基本的には、このような流れで取引が進んでいきます。


注意点としては、取引希望の会社にいきなり電話連絡でアポを取り付ける事はありません。


やはり外国との取引なので、こちらの意思が確実に相手に伝わる手段を取らなければならず(意思の齟齬がないように)、


相手が確実に理解出来る文章で理解してもらう必要がありますので、タイ語でメールを送るようにします。

決済方法

タイ企業から買い付ける場合

タイ企業や商店から製品を購入する場合、

多くの場合は

  • 商品出荷前、事前50%支払い
  • 商品到着後、残金50%支払い

と求められる事が多いです。

中には、100%事前支払を求めてくる会社もありますが、

彼らも確実にビジネスを手にしたいので、
ある程度交渉は可能かと思います。


タイ企業との取引は基本的に現金販売ですので、
新規で掛け売りはほぼ皆無と言えます。

タイ企業へ売り込む場合

決済方法については、当然ですがそれぞれの企業によってバラバラです。

製品の輸出取引の場合、これまで見てきた決済内容としては、

A社:100%入金後、商品出荷:FOB日本
B社:商品出荷前50%事前入金、商品到着後50%残金入金
C社:商品受け取り後TT30
D社:商品出荷後のL/C発行

などがありましたが、最も安心して取引が出来るのはA社ですね。

A社は会社の規模も大きく、余裕があるのでこのような決済方法で対応可能なのではないかと考えます。

実際には、信頼関係などに条件は左右されますが、よほど信用がないとA社のような決済方法で対応してもらえるタイ企業は稀だと言えます。


当社では、基本的にタイ企業へ販売する場合は、事前に100%入金、その後商品出荷というスタンスを基本としています。

支払がされない場合

海外取引で最も心配な事は支払がされない場合どうするかではないでしょうか。

海外なので、簡単に裁判という訳にもいきません。

しかし、最終的な解決方法は、やはり現地で裁判所に訴える事しかないと考えます。


裁判所に訴えるのは、何も勝訴することを目的とする事ではありません。


裁判所に訴えることでこちらの本気度を示し、多くの場合は和解で解決するのが賢明かと考えます。


筆者も昔、タイ企業やタイ人に対し何度か現地の所轄裁判所に訴えたことがありますが、最終的にはやはり和解で解決した経験があります。


当時の筆者は、必ずこちらが勝訴する事を見込んで裁判所に訴えていたので


和解ではなく頑なに勝訴にこだわっていました。


しかし、時間と費用の面から見ても長期で争うことのメリットはなく最終的にどれも和解で解決する方法に至りました。

タイでのビジネス慣習

なぜ現地の裁判所なのか

基本的に、日本の企業であれば、タイ企業との支払で問題が発生した場合の解決方法として、


契約書の中に日本の裁判所を管轄裁判所とすることを

記載されるのが良いのではないかと、考えられる方もいらっしゃるかと思いますが、

私はタイ現地での裁判所を管轄裁判所と、
契約書の中に記載することをお勧めします。

理由は下記2つの通りです。

  1. 手間を省ける
  2. 履行される可能性が高い
手間を省ける

もし、タイ企業の担当者を日本に呼び、
日本で裁判をしたとしても、日本の裁判所で出た判決内容は、

基本的にはタイ国内では関係ありません。


私は法律家ではないのですが、実務レベルでの知識として説明しますと、

タイでは日本の裁判所の判決内容に法的拘束力を持ちませんので、タイ企業は日本の判決内容を履行する可能性は著しく低いと言えます。

そのためタイ国内で法的拘束力のある判決を得るには、

タイで再び裁判をしなければなりませんので、二度手間と言えます。

履行される可能性が高い

判決内容を履行してもらう可能性を高めるためには、
初めからタイで裁判をして、タイの裁判所から出された判決内容で

相手方に履行を求めたほうが確実です。

他国の裁判所で出された判決内容よりも、
自国の裁判所で出された判決内容の方が、

強制力があるのはご自身に置き換えて考えて頂いても、ご納得頂けるのではないでしょうか。

タイでのビジネス慣習 – まとめ

タイ企業と取引する場合、まとめると以下のようになります。

  1. タイ企業から買い付ける場合、商品出荷前50%事前支払い、商品到着後50%残金支払い
  2. タイ企業へ売り込む場合、100%入金確認後商品出荷を基本
  3. 支払に問題が発生した場合、タイ現地の裁判所に訴える

以上となります。
これから、タイでビジネスをご検討されている方の参考になれば幸いです。


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